第157章 詐欺

調停室の声が、扉越しに途切れ途切れ聞こえてくる。

篠原霧音の声は落ち着いていた。ひとつひとつ、筋道を立てて切り分けていく。

「鼻骨骨折は軽傷2級です。司法鑑定の基準も確認しました。治療費、休業損害、栄養費を合わせても、妥当な賠償の範囲は多く見積もっても100万未満。あなた方が言う1000万は、裁判では通りません」

金のネックレスをぶら下げた男が鼻で笑う。

「100万? ふざけんな?」

「うちの息子の顔が台無しになったのよ! これからどうやって人前に出ろっていうの! 精神的苦痛の分は計算してるの!?」

甲高い中年女の声。

篠原霧音は乗せられない。むしろ、さっきより一拍ゆっくり話し...

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