第19章

HG建材の正門を出ると、篠原霧音は二人の子どもの手を引き、歩道の縁で立ち止まった。少し、困った顔になる。

手の中には、今野天にもらった福沢諭吉が数枚。郊外の科学館までタクシーで行けば、片道だけでも数千円は飛ぶ。往復となれば、さすがに痛い。

お金は今野天のものとはいえ、霧音はもともと倹約家だ。目の前を高級車が次々と走り去っていくのを眺め、ふと隣を見る。

仕立てのいい小さなスーツに身を包んだ、お坊ちゃま。

普段、霧音と奈々の外出は電車とバスばかりだ。――この子、平気だろうか。

少し考えて、霧音は本人の意思を優先することにした。

「イケメンくん」

しゃがみこんで、今野安哉と目線を合わ...

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