第24章

奈々を家まで送り届けてから、篠原霧音はようやく会社へ戻った。

自動ドアをくぐった瞬間、空気が――おかしい。

さっきまで固まって雑談していた連中が、ぱっと散った。隠しきれない「見ものだな」という顔。視線だけが、やたらと刺さる。

霧音は気にせず、そのまま自分の席へ向かった。

椅子に腰を下ろして間もなく、曽我美蘭がやって来る。

「よぉ、お帰り」

腕を組み、見下ろすように霧音を眺める。口元の嘲りは、もはや抑える気もないらしい。

「で? 今野天には会えたの?」

一瞬で、周囲が静まり返る。キーボードの音まで止んだ。何十もの耳が、ぴんと立っているのが分かる。

霧音は淡々とPCを立ち上げた...

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