第51章

HYグループ・プロジェクト部。

笠原灯が離婚協議書に署名してからというもの、篠原霧音は仕事にすべてを注ぎ込んだ。

手元の案件はいずれも切れ味鋭くまとめ上げ、笠原グループにHG建材――誰もが尻込みする難所を立て続けに落としてみせた。

その結果、オフィスでの存在感は一気に跳ね上がる。

そんな矢先だった。

どん、と書類が篠原霧音のデスクに叩きつけられた。振動でコーヒーカップがかすかに揺れ、褐色の液体が数滴、机に散る。

腕を組んだ曽我美蘭が、上から見下ろすように立っていた。嫉妬と苛立ちが、隠しきれない。

「篠原霧音。これがあなたの作った報告書? HG建材のデータ、よくも勝手に弄れるわね...

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