第55章

通話はぷつりと途切れた。どうやら、スマホを奪い返されたらしい。

直後、今野天から氷みたいに冷たいメッセージが届く。

『受け取って。じゃないと俺が落ち着かない』

篠原霧音は小さく息を吐いた。

――分かった。今野天という人は、金でしか人間関係の距離を測れない。

受け取らなければ、きっと「借り」を作ったことが気持ち悪くて仕方ないのだろう。

『分かった。安哉の分として預かる』

霧音は受取ボタンを押した。

残高に増えた数字を見て、思わず首を振る。

……これ、ちゃんと動いて稼がないと。

この調子だと、今野安哉が小学校を卒業するまでに使い切れない。

……

翌朝。

篠原霧音は定刻ど...

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