第56章

「――それとも、普段の仕事で使うべき頭を、こういうくだらない話に回してるんですか? だから私が課長で、あなたたちがそうじゃない」

声量は大きくない。口調も淡々としていて、感情の起伏すらほとんどない。

それなのに後部座席の二人は、さっと顔色を変えた。

片方が言い返そうとした、その瞬間。隣が袖を引き、目配せで制した。

今の篠原霧音は、もう好き勝手に弄れるインターンじゃない。HGの大型案件を握り、今野社長からも一目置かれている。ここで揉めれば損をするのは自分たち――彼女らも、それが分かっていた。

車内は、しん……と静まり返った。

個室のある店に着くと、中にはすでに何人も集まっていた。

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