第57章

古川司真は助手席に座り、篠原霧音がシフトレバーや各種操作を、ひとつひとつ確かめるように触っているのを眺めながら、柔らかな声で尋ねた。

「運転、できるのか?」

篠原霧音はこくりと頷いた。以前、笠原灯が泥酔して帰れなくなるたびに迎えに行くため、わざわざ免許まで取ったのだ。

ただ――今はもう、ハンドルを握っていない期間が長い。

霧音はシートを調整し、前方へ視線を据える。表情は明らかに強張っていた。

それを見た古川司真が、思わず笑う。

「何をそんなに緊張してる」

霧音は唾を飲み込み、乾いた声で言った。

「運転は……できます。でも、ずっと乗ってなくて」

「それに先輩の車、すごく高そう...

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