第67章

ほどなくして、病室のドアがまた押し開けられた。

戻ってきたのは笠原灯だった。

外の冷気をまとったコートの裾がわずかに湿り、眉間には深い皺。声には露骨な不満が滲んでいる。

「外祖母さん、さっき何してたんです? 恵はもともと体が弱いのに、帰国したばかりで……わざわざお見舞いに来たのに。言い方がきつすぎます」

お婆様は奈々にリンゴを食べさせてもらっている最中だった。口の中の果肉を飲み込み、鼻で笑って顔を背ける。

「きつい? まだ甘かったくらいだよ。あの子が何を企んでるか、誰が見たって分かるだろう」

「企むも何もないでしょう」

笠原灯は袖口のカフスを外しながら、低く言った。

「恵は何...

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