第74章

篠原霧音はびくりと肩を跳ね、危うく悲鳴を上げそうになった。

目を見開き、必死に笠原灯の腕の中から抜け出そうともがく。

この部屋は、確かに自分で内側から鍵をかけたはずなのに――。

笠原灯は彼女の考えを見透かしたように腕をほどき、淡々と言った。

「忘れたのか。この家の鍵は全部、俺が予備を持ってる」

篠原霧音は怒りで全身を震わせ、手を振り上げて平手打ちしようとする。

「笠原灯、誰が抱けって言ったの。離れて!」

その手首が、空中で止められた。

笠原灯の握力は強い。鉄の万力みたいに、篠原霧音の手首をがっちり掴む。

そのまま体勢を入れ替え、彼は彼女の上に覆いかぶさった。両手首を頭上の枕...

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