第79章

清水恵の目が、たちまち赤く縁取られた。落ちそうで落ちない涙がまつ毛にぶら下がり、妙に庇護欲を煽る。

「灯……あの日、私の言い方がストレートすぎて、霧音さんに誤解させちゃったのかな?」

くすん、と鼻をすすり、声は甘く柔らかい。

「もしそうなら、私……霧音さんにちゃんと謝る。だから、外祖母さんに怒られたくない……嫌われたくないの……」

リビングは、死んだみたいに静まり返った。

響くのは、笠原灯の手元だけ。ライターの蓋が開いては閉じる、カチ、カチという乾いた音。

灯は返事をしない。清水恵を一瞥すらせず、伏せたまぶたの奥で、明滅する青い炎をぼんやり見つめていた。

清水恵は爪を掌に食い込...

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