第95章

5日連続で、篠原霧音のデスクには高そうな花束が置かれていた。

オフィスの視線は、好奇心と、羨望と、嫉妬がないまぜだ。

「これ、いくらするの? 昨日のバラ、ネットで見たけど1本で何千円もしたよ」

「花どころじゃないよね。燃やしてるでしょ。篠原さん、いったいどこの金持ちに口説かれてんの?」

「いや、さすがにやりすぎ……」

篠原霧音は聞こえないふりをした。

包装紙すら開けない。花束をそのまま持ち上げると、くるりと踵を返し、オフィス脇に置かれた特大のゴミ箱の前へ。

ぽい。

迷いも未練もなく、放り込んだ。

女同僚たちは顔を見合わせ、思わずごくりと唾を飲む。自分たちなら、こんな高い花を...

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