第98章

「笠原灯! 何してるの!」

篠原霧音は眉をきつく寄せ、彼を睨みつけた。

笠原灯は逆手に彼女の手首を掴み、そのまま壁へ叩きつけるように押さえ込む。

長身の影が覆いかぶさり、薄い布越しに熱が伝わってきた。

熱に浮かされたせいか、彼の目尻は赤く滲んでいる。笠原灯は霧音の瞳だけを射抜くように見つめ、歯を食いしばって吐き捨てた。

「なんで古川司真の晩餐会に付き添う? どういう立場でだ」

息が詰まる。手首は握り潰されそうに痛い。

もがけば、さらに強く押しつけられた。

「放して! あなたに関係ないでしょ!」

「俺はお前の夫だ!」

怒号とともに胸が大きく上下する。手の甲についた血が、霧音...

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