第104章

彼は二谷夜子の前にある空の椀を取り上げ、燕麦粥をよそって差し出した。――取り繕うような、ささやかな歩み寄り。

『今日は学校に戻るのか? 送る』

藤原右京が燕麦粥を彼女の前へ置く。

二谷夜子は伏し目がちにその椀を一瞥すると、無言で脇へ寄せた。

『あとで荷物まとめて、マンションに戻る』

彼が「寝相が悪い」と言うなら、こっちは「手荒すぎる」と言いたい。

寝起きの機嫌が最悪で、たった一日で人をベッドから放り落とす男だ。数日もしたら、起き抜けに殴ってきてもおかしくない。

江原和直みたいな図体の男ですら肋骨を三本折られている。自分があんな「家庭内暴力」なんて受けたら、たまったものじゃない。...

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