第117章

藤原右京は顔に浮かべていた冷笑をすっと引っ込め、『どう思う?』とだけ返した。

周防充はすぐ察する。藤原右京はいま、この件の黒幕が二谷夜子だと疑っている。

二谷夜子は昨日の昼も新聞社に顔を出していた。彼らは「論文を提出しに行った」のだと思っていたが、実際はタレコミに行った可能性だってある。

『今すぐ人を回して調べます』

二谷夜子の仕業かどうかなど、洗えばすぐ出る。

さっき彼が自分から二谷夜子の名を出さなかったのは、藤原様が彼女を気にかけていると知っていたからだ。確たる証拠もないのに、軽々しく泥を塗るわけにはいかない。だが今の藤原様は、もう「二谷夜子と無関係ではない」と決めているように...

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