第132章

二谷夜子は振り返り、背後の原崎暁を見上げて胸を張った。

『まさか、夕飯付き合ってくれないの?』

ちらりと時計を確認して、唇を尖らせる。

『ほら、もうすぐ夕飯の時間じゃん』

原崎暁は困ったように息を吐いた。

『今夜は無理。先約がある』

しかも、その約束は――どうしても外せない。

二谷夜子は眉を寄せた。こんなタイミングで自分を「置いていく」なんて、想像もしていなかったのだ。

『誰との約束がそんなに大事なの? 私、あなたの可愛い妹分なんだけど』

原崎暁は苦笑して、短く言う。

『……債主』

その一言で、二谷夜子はだいたい察した。

原崎暁がこの人生で関わってしまい、なおかつ逆ら...

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