第196章

松谷雅美は病室をぐるりと見回したが、藤原政城の姿がない。『お父さんは?』

藤原右京は簡単に説明した。政城は年齢的に徹夜が堪える。だからいったん家に帰って休ませた。あとでこちらへ来る、と。

松谷雅美は息子を値踏みするように眺め、ふっと笑う。『……お母さんに聞きたいことがあるんでしょ?』

右京は頷くと、回りくどい前置きもせずに言った。昨日の出来事を、最初から最後まで全部話してほしい、と。

松谷雅美は素直に応じ、ゆっくりと昨日のことを語った。話し終えると、逆に問い返す。

『お父さん、何か勘違いしてるんじゃない?』

藤原右京も隠す気はなかった。母の前で、父のことをそのまま告げ口する。

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