第22章

二谷夜子には、もう何ひとつ音が届いていなかった。全身は激しく痙攣し、両腕で自分の身体をきつく抱き締めている。

爪が腕の肌に深く食い込み、赤い筋を幾筋も残す。そうでもしなければ、体内で燃え盛る熱に耐えられない――そんなふうに。

藤原右京は、数歩離れた場所に立っていた。黙したまま見下ろすその姿は、まるで冷酷な裁定者。

息も詰まるような静寂の中、時間だけがじりじりと流れていく。

空間に響くのは、二谷夜子が押し殺しきれず漏らす、苦しげな喘ぎだけ。

右京は見ていた。

苦痛に震える彼女を。

薬の効き目に抗うように、爪で自らを傷つける彼女を。

情欲と涙に濡れながら、それでもなお目を奪うほど...

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