第27章

二谷夜子は、否応なくその深い瞳を見据えさせられた。そこに憐れみはない。あるのは、彼女には読み取れない複雑な色だけ。

恐怖が一瞬で喉元まで這い上がり、体が勝手に小刻みに震える。

藤原右京は、彼女の瞳にようやく怯えが浮かんだのを確認すると、小さな顎に指の腹をそっと滑らせ――それから、ゆっくり手を離した。

「荷物をまとめろ」

命令の声は、静かで冷たい。

二谷夜子は呆けたまま言った。

「……え? 何を」

藤原右京の視線が、彼女の破れたスカートの裾と露わな肌を掠める。ほんの一瞬、陰りが走った。

「引っ越す」

「もうここには住めない。江原和直の性分だ。簡単には見逃さない」

二谷夜子が...

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