第28章

これは、彼女の隠しカメラ付きスマートロックだ。さっき玄関の外で、江原和直が彼女に暴力を振るった一部始終と、階段の踊り場で藤原右京が冷ややかに傍観していた顔まで、すべて記録されている。

二谷夜子はUSBメモリを手のひらの中で強く握りしめた。ついさっき藤原右京の前で晒した脆さも惨めさも、みるみるうちに引いていく。代わりに胸の底へ据わったのは、ひどく頑なな覚悟だった。

屈辱。

絶望。

なすがままに踏みにじられるだけの自分。

――そんなもの、冗談じゃない。

二谷夜子が呑み込んだ血の涙も、受けた辱めも、そのひとつ残らず。

あの連中に、きっちり利息付きで返してもらう。

身支度を整え、どう...

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