第38章

その言葉を聞いた瞬間、原崎暁は弾かれたように顔を上げた。くすんでいた瞳に、怒りの火がぱっと灯る。

「南野立人……私に向けてくればいい。家族を巻き込まないで」

三年前、父が会社の倒産で追い詰められ、長いあいだ絶望の底に沈んだ。生きるのをやめようとしたことだって、一度や二度じゃない。

それがようやく、ここ数か月で借金を返し終え、小さな会社を立ち上げ直して、やっと生活に光が差し始めたところだった。

――もう二度と。南野立人に、父の血のにじむような努力を踏みにじらせるわけにはいかない。

原崎暁の目に浮かんだ狼狽を見て、南野立人の胸に、得体の知れない快感がじわりと湧いた。

「原崎暁。これは...

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