第47章

バーテンダーが彼に恭しく声をかけようとした瞬間、周防景冶が視線ひとつで制した。

周防景冶はウイスキーを一杯頼み、何でもないふうを装って二谷夜子の隣のスツールへ腰を下ろす。横顔のラインは流れるように整っていて、やけに目を引く。

夜子は頬杖をついたまま、周防景冶の若く端正な顔を見た。

周防景冶――?

この姓が、ここで出てくるなんて。

周防家の人間。

胸の奥から強烈な嫌悪が湧き上がり、必死に保っていた平静を突き破りそうになる。

同時に、ひとつの大胆な考えが脳裏を跳ねた。――近づいて、利用する。

夜子は無理やり唇の端を持ち上げ、ふざけた笑みを作って探りを入れる。

「周防景冶。ちょっ...

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