第48章

二谷夜子の頬に浮かんだ照れくさそうな笑みを見た瞬間、原崎暁はすべてを察した。

邪魔するつもりはない。彼女はそっと身を翻し、テラスへ通じる脇の扉へ向かう。

そのとき、周防景冶が二谷夜子へ手を差し出した。

「姉さん。一緒に踊らない?」

二谷夜子は本来、敵の庭でこんなに目立つ真似をしたくなかった。とりわけ周防雨子と――そして、あの人の目を引くのは避けたい。

けれど。

周防――その姓が、胸の奥を熱く掻き立てる。

周防家の人間。周防家の若様。

その事実が、彼女を一瞬で昂らせた。

周防家の晩餐会で、周防家の若様を公然と誘惑する。

これ以上に刺激的な復讐の入口があるだろうか。

……そ...

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