第52章

二谷夜子はまさか、周防家クラスの宴席で、こんな野蛮人に遭遇するとは思ってもいなかった。

――周防雨子が、わざと仕組んだのだろうか。自分に恥をかかせるために。

抵抗しても、男は強引に彼女を引きずるようにしてダンスフロアの中央へ連れていく。乱暴な腕が、そのまま腰へ回された。

藤原右京と白原ルルはちょうど踊っていた。当然、二谷夜子のほうの騒ぎにも気づく。

満面で拒絶する二谷夜子を、男が無理やり抱き寄せた瞬間。藤原右京の瞳が、すっと沈んだ。

彼は白原ルルの手をほどき、そのまま歩み出そうとする。

「右京!」

白原ルルが素早く腕に絡みつく。

「どうしたの? まだ踊り終わってないでしょう」...

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