第63章

二谷夜子は、ぐちゃぐちゃに荒れ果てた化粧室を見回し、それから後ろめたさをにじませながら、尊大な顔で立つ藤原右京へそっと視線を向けた。

もし藤原右京が警察を呼んで責任を追及したら――器物損壊の程度次第では、本当に拘置されるかもしれない。

夜子は深く息を吸い、傷ついた足を引きずりながら、いじらしく彼の前まで歩み寄る。声を細くして、縋るように言った。

「ごめんなさいぃ……今日の損害は、ぜんぶ私が弁償するから……」

「弁償?」

藤原右京は鼻で笑った。

「二谷夜子、お前に何が払える。この化粧室はJean-Michel Gathyの設計だ。お前が壊した装飾品はどれも、サイン入りの限定アートだ...

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