第67章

「江原様っ! そんなことなさっては……! 藤原様はお取り込み中ですっ!」

周防充の焦りと諦めが入り混じった声が、すぐ背後から追いすがる。

江原義人は動く肉の塊みたいな巨体で、ドア口を乱暴に塞いだ。腕を組み、腰に手を当て、顔じゅうに『俺は気に食わねぇ』と書いてある。

その立ち姿は、まるで乗り込んできた場荒らしのヤクザの親分。

藤原右京は、顔も上げない。

煙草と酒、それに脂の混じった不快な臭い。十メートル離れていても鼻を刺す。

周防が汗だくで駆け込んできて、腹を括ったように報告した。

「藤原様……江原様が……」

右京が、ふわりと視線だけを周防へ流す。

たったそれだけで、室内の温...

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