第74章

二谷夜子は地下鉄の駅を出た。

もう何日も休んでしまった。これ以上病院に顔を出さなければ、下手をすれば仕事そのものを失いかねない。

スマホで時刻を確認すると、もうすぐ10時。二谷夜子は足を速め、天野病院へ向かった。

病院まであと50メートルほどのところ。前方に、スポーツブラにショートパンツという格好の洒落た中年女性がいた。走りながら電話をしている。

『……天野病院の周り、もう10周目……うん、2時間で30キロ……』

二谷夜子はその女性とすれ違いざま、年の頃を見積もる。50歳前後だろうか。

すごい。2時間で30キロ以上なんて。

プロのマラソン選手か何か?

そう思った矢先。

背後...

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