第77章

藤原右京は、赤く染まった可憐な頬を見つめると、冷え切った表情をほんの少しだけ和らげた。

『怖くなったか?』

腰に回した腕はほどかない。むしろ無意識に、指の力がきゅっと増す。

『怖いなら……俺の母親に近づくな』

――命を奪いかねないやり方で、脅すなんて。

二谷夜子は怒りで全身が震えた。積もり積もった悔しさと憤りが、一気に噴き出す。

彼女は勢いよく足を上げ、ありったけの力で、藤原右京の磨かれた革靴を踏みつけた。

『っ……!』

足の甲に走った痛みに、藤原右京が息を呑む。夜子を睨み据え、歯噛みするように吐き捨てた。

『どうした。さっきのが物足りなかったか? もう一回、上で味わいたい...

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