第91章

藤原右京は長い脚で、彼らのほうへ歩み寄った。

二谷夜子を人質に取っている女は、彼が迫ってくるのを見た瞬間、顔色をさっと失う。

『あんた、誰よ……何する気?!』

震える声。露骨な恐怖と警戒。

藤原右京は数歩手前で止まり、夜子の首筋に突きつけられたハサミを、射抜くように見据えた。目に見えない圧が、じわりと廊下に広がる。

『離せ』

『近づくな! 余計なことしないで!』

女は金切り声を上げ、ハサミをぶんぶんと振り回す。刃先がふらつくたび、夜子の喉がひゅっと縮んだ。

藤原右京は一歩も退かない。むしろ、気配がいっそう鋭くなる。

『もう一度言う。離せ』

夜子は青ざめた。冷たい刃が首に食...

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