第93章

二谷夜子の要求を耳にした瞬間、藤原右京は眉間の皺をさらに深くした。

『ふざけるな』

二谷夜子は目を見開き、信じられないという顔をした。

藤原右京と恋人同士になってから、初めて自分からキスをねだったのに――まさか拒まれるなんて。

『前に言ったじゃない! 藤原右京の彼女になったら、欲しいものは何でも手に入るって! なのにキスひとつもしてくれないの?』

頬をぷくっと膨らませ、二谷夜子は噛みつくように言う。

『私のこと騙してたんだ。……だったら、私も考え直さないと。ほんとにあなたと――』

言い終える前に、藤原右京が彼女の頬をそっと掴み、喋り続ける唇を軽く塞いだ。

触れるだけの短いキス...

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