第94章

二谷夜子は、藤原右京の端正な顔がまた氷みたいに冷え切ったのを見て、胸の奥に言いようのない鬱屈が湧き上がった。

……このクソ男。もうちょっとくらい、あたしを甘やかしてくれたっていいじゃない。

やっぱり藤原右京と付き合って、ラブラブなんて期待するだけムダだ。待ってるのは腹立つことばっかり。

藤原右京が二谷夜子を無視するなら、二谷夜子だって藤原右京を無視する。

彼はリビングのソファを陣取って書類を読み、彼女は病床に寝転んだままスマホをいじる。どちらも先に折れる気はない。

そのとき、病室の外からコンコンとノックが聞こえた。

二谷夜子は周防充だと思い込み、気だるげに返す。

『どうぞー』

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