第8章

 離婚が成立してからの最初の1ヶ月、私は自分が予想していたような絶望感に襲われることはなかった。

 それどころか、解放感すらあった――息の詰まるような結婚生活から、ようやく抜け出せたのだというような。

 毎日早起きして簡単な朝食を作り、聡子おばさんと散歩をして、テレビで経済ニュースを見る。穏やかで、満ち足りた日々だった。

 その日の朝、聡子おばさんの電話が鳴った。

 彼女の交友関係の誰かからの、噂話だった。おばさんは目玉焼きをひっくり返しながら、スマホをスピーカーフォンに切り替えた。

「聞いた? あの森田テックの男――結衣と離婚したばかりなのに、もうあの継母を妊娠させたらしいわよ。...

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