第6章

星奈視点

あのクローゼットでの一件以来、私と航平はさらに慎重になった。だけど翔太の疑いは増すばかりで――彼は私の一挙手一投足を監視するようになった。

大学近くの喫茶店、午後二時。

翔太は人目を避けるように、隅のテーブルを選んだ。

「座れ」彼は向かいの椅子を顎でしゃくった。命令口調だ。

私は呆れて目を細める。「一体何の用なの? こんなところにわざわざ呼び出して」

翔太の瞳が、私をじっと見据える。「星奈、話がある」

「何について?」私はコーヒーカップを手に取り、鼻で笑った。「由衣との『勉強仲間』ごっこについて?」

彼の表情が途端に険しくなる。「話を逸らすな。お前が最近...

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