第14章

高橋浩太が振り返ったのを見て、小島奈緒はその先輩にどこか見覚えがある気がした。けれど、すぐには思い出せない。

「先輩、ボクシング部って女子も入れますか?」

もし高橋浩太に決定権があるなら、胸を叩いてこう言っただろう。

「もちろん! 他はともかく、お前は絶対歓迎!」

――だが現実は違う。彼は副部長にすぎない。ボクシング部は部長の一存で回っている。

部長が女子を募集したのは、大学1年の創部当初だけだった。入ってきた女子部員は、練習のきつさに耐えきれず、結局みんな部長に追い出された。

それ以来、部長は「女子は取るな」と言い出した。

「えっと、うちは――」

高橋浩太は残念そうに口を開...

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