第25章

小島奈緒は目を閉じた。

風間怜司の唇は、あたたかい。

前世でその唇を覚えているのは、一度きりだった。橋南通りで行く手を塞がれ、車のドアに押しつけられて――無理やり口づけされた。

小島奈緒は、思いきり平手を叩き込んだ。怒りで身体が震えるほどで、全身の力を乗せた一撃は、風間怜司の口の端を切り、血まで滲ませた。

風間怜司は親指で血を拭い、凶悪な目で彼女を睨みつける。

「てめぇ……」

吐き捨てるように言って、続けた。

「俺が本気でお前を好きだって、どうしても信じねぇってわけか?」

そして小島奈緒に詰め寄る。

「どうやったら証明できる? 命でもくれてやりゃいいのか?」

そのときの小...

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