第26章

小島奈緒が教室に入った瞬間、空気がどこかおかしいと肌で感じた。何人かの視線が妙に含みを帯びていて、とくに男子の目には、失望みたいな色まで混じっている。

小島奈緒は足を止める。

――この目、知ってる。

ざっと見回すと、井上小夜がこちらに手を振っていた。奈緒は席へ寄り、首をかしげる。

「みんな、どうしたの? なんか変」

小夜は声を落とし、怒りを噛み殺すように言った。

「斎藤雅美が、奈緒の悪口言ってた!」

やっぱり。予想どおりの答えだった。

斎藤雅美の中傷は、もう始まっている。

小夜はまだ腹の虫が収まらないらしい。

「さっき、あたし、あいつと口げんかしたんだよ。言い方がさ、ねち...

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