第30章

風間怜司と山口大翔はすれ違い、互いに別の方向へ歩き出した。怜司は目が利く。数歩離れただけで、小島奈緒の様子がどこかおかしいことに気づいた。

奈緒の視線を追うと、そこにあったのは山口大翔の背中。

――奈緒は、山口大翔を知っているのか?

風間怜司は表情を崩さないまま奈緒の隣へ寄り、低く尋ねた。

「どうした」

「……別に。行こ」

奈緒はそれ以上何も言わず、怜司と並んでノーリミトバーを出た。夜風が頬を撫でる。しばらく歩いてから、奈緒は堪えきれないように口を開いた。

「さっき、あなたに話しかけてた人……誰?」

「友だち」

「……仲いいの?」

怜司がちらりと横目で見る。

奈緒は肩を...

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