第38章

最初から悪党だと分かっている相手よりも、信じた気持ちを踏みにじった人間のほうが、よほど憎い。

斎藤雅美は薄っぺらくて見栄っ張りで、風間怜司に好かれて追いかけられる小島奈緒を最初から妬んでいた。その妬みのまま、奈緒の悪口をあちこちで言いふらし、根も葉もない噂まででっち上げた。

坂本哉太は、誰がどう見てもただの色欲まみれの男だ。金があるのをいいことに、底なしに下劣で、卑怯で、恥というものがない。

けれど奈緒が気づいたのは、あの二人以上に――自分が小林裕美を憎んでいる、という事実だった。

前の人生で、あの連中の中でいちばん長く一緒にいたのは裕美だった。助けたり助けられたりもした。無理やり言...

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