第65章

午後になって、井上小夜は案の定、小林裕美の件を聞いてきた。

「……正直、望み薄じゃない?」

自分で言っておいて、小夜は思わず苦笑する。

井上小夜が小林裕美の頼みを即座に突っぱねなかったのは、ひとつには彼女がその場でやたらと熱心だったからだ。もうひとつは――裕美はたしかに、時々こちらが引くほど前のめりで、しかも金の使い方も派手だと小夜は思っているけれど、それでも「使っているのが自分で稼いだ金だ」という一点だけは、ちゃんと評価していたからだ。

小林裕美はおしゃれが好きで、買い物が好き。メイクも上手い。前の人生では、井上小夜が身なりに無頓着なことを笑ったし、小島奈緒のことも笑った。

笑っ...

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