第70章

風間怜司は、見知らぬ部屋にひとり座っていた。顔を上げて周りを見回す。どこなのかも分からない。自分がなぜここにいるのかも――分からない。

不意にドアが開く。

中年の警察官が、おばあさんの身体を支えながら入ってきた。そうして、誰かに確認するように言う。

「ほら、来たぞ。ほらほら、ちゃんと見てみろ。……このおばあさんで間違いないか?」

――え。

あれは……小島奈緒のおばあさんじゃないか。

視界がふっと高くなる。自分が立ち上がったのだと、遅れて気づく。しばらくの沈黙のあと、口が勝手に動いた。

「……はい」

次の瞬間、景色が切り替わる。

自分は車を運転していて、おばあさんは後部座席に...

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