第78章

風間怜司は車を停め、足を踏み出して風間邦夫に会いに行こうとした。

小島奈緒の家で丸一日と一晩、逃げるように過ごした。頭が冷えた今となっては――風間邦夫が鈴木蓮花を殺したなど、どうしても信じられなかった。

風間邦夫が自分を知り尽くしているように、怜司も父のことを知っている。怒りに任せてその場の勢いで人を殺す。そんな短絡を、あの男がやるはずがない。どれほどの荒波をくぐってきたと思っている。後先を考えない真似だけは、絶対にしない。

そのとき、黒塗りの高級車が音もなく目の前に滑り込み、すっと停まった。進路を塞ぐように。

窓が下り、山口遠が少し身を乗り出す。

怜司の瞳が細くなる。

今朝、大...

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