第80章

小島奈緒は、風間怜司に抱きかかえられて家へ連れ帰られた。

この「家」は、風間邦夫と鈴木蓮花が暮らすあの邸宅ではない。風間怜司が一人で住んでいる部屋だ。

場所は都心、有名な富裕層の住宅街。音声で反応する照明で、怜司が「点けて」と言うと、足取りに合わせて灯りが暗がりからゆっくりと、順番に立ち上がっていく。

いきなり眩しくならない。

空間はやたらと広い。怜司は以前、奈緒の家を丸ごと並べても自分の寝室のほうが大きい、と笑って言ったことがある。

何度も何度も、甘い言葉で「うちに来い」と誘われた。奈緒は、彼が何をしたいのか分かっていたから、頑として行かなかった。

ここへ来るのは、これが初めて...

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