第81章

ここ数日、井上小夜から彼女のスマホにメッセージが何通も届いていた。ついさっきも「電話して。無事だって言って」と、懇願するような文面が来たばかりだ。

「始業」の話題が出て、小島奈緒は日付を見て、そこでようやく気づく。もう3月1日になっている。彼女と風間怜司は、何日も何晩も、この家から一歩も出ていなかったのだ。

スマホを両手で抱えたまま、ぼうっとしていると、また小夜から通知が入った。今度はボイスメッセージ。

奈緒は再生を押す。耳に飛び込んできたのは、小夜の声だった。

「奈緒、言いたいことがあるの」

少し間が空いて、

「うちの母さんが……亡くなった」

奈緒は、はっと目を見開いた。

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