第86章

山口遠は涙をぼろぼろこぼした。

「あなたが……あなたの養父と情があるのは分かってる。私だって、二人の間を壊したいわけじゃない。ただ、まさか――あそこまで残酷だなんて。あなたのお母さんを殺すなんて」

「俺とお前の母さんにも、確かに落ち度はあった。だが、死ぬほどの罪じゃないだろ。風間邦夫は……本当に容赦がねぇ」

芝居がかった口ぶりで、山口遠は言った。

風間怜司は無表情のまま、その「演技」を眺めていた。内心では、この面会そのものが吐き気がするほど鬱陶しい。けれど、合わせないわけにもいかない。幸い、山口遠と親しげに振る舞う必要まではない――それがむしろ都合がいい。

山口遠が切れる札は、結局...

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