第11章

霧生嵐は視線を落とし、自分のズボンの裾を掴む彼女の手を見ると、瞳に微かな嘲りの色を浮かべた。

彼女が怯えている、あるいは後ろめたさを感じているのだと思ったのだ。

「ふん、今さら怖気づいたか?」

彼は彼女を蹴り飛ばそうと足を上げた。

その時だ。

カチャリ、と音がした。

あろうことか、ドアが外から開けられたのだ。

「入るわよ……」

月見優心が、精巧な白いステッキをつき、ドアノブに手をかけたままの姿勢で入り口に立っていた。

明らかに焦っていた。何かを確かめようと急ぐあまり、礼儀作法すら忘れていたようだ。

霧生嵐は我に返り、眉をひそめた。

「何をしに来た? 今日はリハビリの日だ...

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