第112章

天河蓮は向かいの席を指差した。

「霧生社長、そう焦らないでください。まずは座って。話せば長くなりますから」

霧生嵐は唇を引き結ぶと、言われた通り腰を下ろし、天河蓮を見据えた。

「霧生社長は、あの事故のことがよほど気がかりなようですね」

天河蓮は薄く笑い、一冊のファイルを彼に差し出した。

霧生嵐はそれを受け取り、封を開けて中身を取り出した。数枚の書類と証拠品らしきものに目を通していくうちに、彼の顔色はみるみる険悪になっていく。

「……これは、どういうことだ?」

天河蓮はカップを置いた。その顔から笑みが消え去る。

「今回は、とんだ強敵に出くわしたようです」

彼は溜息をつき、続け...

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