第116章

泉凪纱はドアノブを握りしめ、ベッドの上の神代雪璃に別れを告げていた。

「また明日来るね。もし雾生嵐社長が来ても……いないものだと思って。絶対に怒っちゃだめだよ。お医者さんも、感情を乱しちゃだめって言ってたでしょ?」

雾生嵐はドアの隙間から、病床の神代雪璃を見つめた。

三年前にはまだふっくらとしていた頬は、今やげっそりと削げ落ち、わずかに窪んでいる。かつてのあどけなさは消え失せ、目鼻立ちが際立ったことで、言葉にしがたい妖艶な風情が漂っていた。

だが……その光景は、彼の胸を酷く苛立たせた。

これは、心痛なのか?

好きだから、心が痛むというのか?

神代雪璃もまた、彼の存在に気づいた。...

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