第126章

白石悠真はその言葉を聞くと、鼻を鳴らして笑った。

「僕のような医者にとって、資金など何の問題にもなりません。あなたに一つ借りができたところで、別に喜ぶようなことでもない」

彼は神代雪璃を振り返り、その右足を指差した。

「それよりも、患者を完治させることの方がよほど魅力的だ。……ですが」

彼は再び霧生嵐を見据え、ゆっくりと告げた。

「最適な治療のタイミングは、霧生社長のせいで過ぎてしまいましたね」

神代雪璃の顔から、血の気が引いていく。最初から完治など期待していなかったとはいえ、胸の奥に苦いものが広がった。

「霧生社長にとってはどうでもいいことでしょうね」

羽鳥おばさんが皮肉た...

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