第127章

二人の距離は極限まで近かった。彼が呼吸するたびに熱い吐息が顔にかかり、彼女は思わず眉をひそめた。

「私に他の病気があるかどうか、霧生嵐社長には関係のないことです」

神代雪璃はさらに身を引いて、二人の距離を再び空けた。

彼女は彼を見据え、はっきりと退去を促した。

「もう休みます。霧生社長、お引き取りください」

「神代雪璃」

霧生嵐は一歩ずつ詰め寄り、右手を彼女の脇の壁に突いた。

背中には冷たい壁、目の前には彼の燃えるような躯体。その対比に、彼女は居心地の悪さを覚える。

彼女は彼の冷峻な顔を見上げ、自らの意志に反して微かに震えた。

認めたくはないが、確かに彼を恐れているのだ。

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