第133章

神代空成は自分が投獄されることなど恐れてはいなかった。だが、神代雪璃に累が及ぶと聞いた瞬間、躊躇が生まれ、手から力が抜けた。

霧生嵐の鬢を汗が伝い落ちる。彼は切っ先を鷲掴みにすると、まるで痛みなど感じていないかのように、果物ナイフを腹部から引き抜いた。

「白石先生、誰か呼んで傷の処置を頼む」

霧生嵐がナイフを手放すと、カランと音を立てて血塗れの凶器が床に落ちた。開かれた掌には、一寸ほどの傷口がパックリと口を開けていた。

白石の名を聞いて、神代空成は一瞬呆気にとられた。白石悠真の胸元にあるネームプレートを確認すると、鬼の形相だった端正な顔が幾分和らぐ。

「分かった。霧生社長はそこで動...

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