第19章

「神代雪璃の体調は、極めて芳しくありません」

紡木祈は淡々と報告を続けた。

「重度の胃病を患っているうえ、左足の古傷も限界です。長時間の立ち仕事と歩行が祟り、膝には水がかなり溜まっています。シフト記録を確認したところ、彼女は半月もの間、毎日十四時間以上働き詰めでした。昼休憩すら三十分も取れていません。まさか死人が出るような事態にはしたくありませんし、神代雪璃の業務量を調整すべきかと愚考しますが……いかがなさいますか?」

霧生嵐は、指に挟んでいた葉巻をクリスタルの灰皿に乱暴に押し付け、火を揉み消した。

脳裏に、神代雪璃の血まみれになった手のひらが過ぎる。

眉間には深い皺が刻まれ、瞳に...

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